骨董・美術品
掛け軸の買取
多くは数千円まで。値がつくのは、肉筆で作者がはっきりしたもの

床の間や押し入れから、桐の箱に入った掛け軸がいくつも出てくることがあります。古そうに見えても、値がつく掛け軸はそれほど多くありません。
買取の比較サービス「ウリドキ」の一括査定で公開されている掛け軸の査定相場は、1円〜3,000円です。一方で、名の知られた作者の本物なら、100万円以上の値がつくこともあるとされています。この差を分けるのが、肉筆か印刷か、作者がわかるか、箱や状態がどうか、です。
実際の査定の例
ウリドキでは、利用者が出した品物と査定額が公開されています。掛け軸の例をいくつか挙げます。
| 品物 | 最高の査定額 | 査定日 |
|---|---|---|
| 掛け軸(箱なし、難あり、東京都) | 6,000円 | 2026年7月14日 |
| 日本画の掛け軸(美品、大阪府) | 1,000円 | 2026年8月9日 |
出典:ウリドキの査定実績のページ。どちらも査定は1件。2026年10月22日に確認。
箱がなく傷みもある掛け軸のほうが、美品より高くなっています。値段を決めるのは見た目のきれいさより、誰が描いたか、肉筆か、という点です。
値がつく掛け軸の条件
買取の一括査定サービスを運営するおいくら(マーケットエンタープライズ)は、次の点を挙げています。
- 作者:有名な作者の作品は価値が上がり、保存状態によっては100万円以上の値がつくこともある。
- 希少性:残っている数が少ないものほど高い。
- 種類:中国の掛け軸は需要が高く、古い肉筆の神仏画には希少価値がつく。
- 保存状態:状態がよいほど高い。
反対に、大量に作られた工芸印刷やお土産品は、値がつきにくいとされています。
肉筆か印刷かを見分ける
同じ解説では、次の見分け方が紹介されています。
- ルーペで見る。 印刷は色が細かい点の集まりで表されていることがあります。肉筆は墨のかすれや濃淡が不規則です。
- 裏から透かして見る。 肉筆は墨が裏まで通っていることが多く、印刷は表面だけのことが一般的です。
箱は捨てない
作者本人の署名や印がある箱(共箱)、鑑定書、二重の箱は、本物かどうかを示す大事な手がかりとされています。ただ、掛け軸には模写の文化もあるので、自分で本物かどうかを決めるのは難しいとされています。
シミや破れがあっても
おいくらは、本紙(絵や書の部分)が有名な作者の本物なら、表装の布の破れやカビがあっても、修復を前提に高く査定されることがあるとしています。古い作品のシミは、時代を経た証として見られることもあるとされています。
手元の掛け軸を分ける
| 手元の掛け軸 | 考え方 | 次にやること |
|---|---|---|
| 肉筆で、作者の名前や印がある箱つき | 値がつく可能性がある | 骨董を扱う業者に、箱ごと見てもらう |
| 古い肉筆の神仏画、中国の掛け軸 | 需要があるとされる | 傷んでいても、そのまま見てもらう |
| 印刷とわかるもの、お土産品 | 値がつきにくい | ほかの骨董とまとめて査定に出す |
| 何本もあって、わからない | 自分では分けにくい | 出張査定で一度に見てもらう |
ウリドキの査定実績と、おいくらの公開情報をもとに、ねうち帖がまとめた。
おいくらは、業者によって査定額に数十万円以上の差が出ることもあるとして、3社ほどに見てもらうよう勧めています。本数が多いときは、出張査定でまとめて仕分けてもらう方法もあるとしています。
査定までの扱い方
- 自分で汚れを落とそうとしない。 おいくらは、一度汚れると専用のクリーナーでも落とすのは難しいとしています。
- 湿気の多い場所に置かない。 カビは高温多湿が原因になるとされています。
- 広げるときは、そっと扱う。 国立国会図書館の取扱いの資料では、掛け軸は中心を下から支え、強く握らないようにするとされています。巻くときは両手で軸の端を持って巻き上げます。
参考にした資料
- おいくら(マーケットエンタープライズ)|掛け軸の買取の解説(2026年8月27日更新)
- ウリドキ|掛け軸の査定実績(6,000円)と日本画の掛け軸の査定実績(1,000円)
- 国立国会図書館|掛軸の取扱い(日本古典籍講習会の参考資料)
いずれも2026年10月22日に確認。
